KnightsofOdessa

ギムリ・ホスピタルのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

ギムリ・ホスピタル(1988年製作の映画)
5.0
[エロスとタナトスの幻夢譚、或いはマディン的『キングダム』] 100点

超絶大傑作。エロスとタナトス。ありえん薄着の看護婦と天然痘の蔓延する病院。性と死。アイスランド的な名前が持つ神話的な響き。そして、サイレント映画懐古的な眼差し。デヴィッド・リンチが『キングダム』を撮ったらこんな感じになるんだろうか。天然痘→傷が増えて肌を覆う→肌を黒く塗った映画史初期の黒人という連想。シーツに浮かび上がる影絵という最もプリミティブな形の"上映"。看護婦のシンクロの幻想はレビューシーンへのオマージュか。そもそも看護婦たちのメイクはヴァンプ女優的ではないか。病人のくせに看護師とヤリたいから気を引きたいけど隣のデブに全部取られる、というコミカルな話から、次第に嫉妬の対象が何であるかも忘れ、所有すること戦うことに意味を見出していく過程。最高。
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