Mariko

しとやかな獣のMarikoのレビュー・感想・評価

しとやかな獣(1962年製作の映画)
4.5
『裏窓』(ヒッチコック)みたいだな〜というアングルで始まるブラック・シットコム。

いろんな方が密かに絶賛してるので観てみたけど、納得の凄さ。
カメラが団地内からほぼ出ず、しかも盗撮魔か?みたいな妙なアングルの固定ショットが続いたり、出てくる階段は「概念」としての階段?(これが怖い)、そこに劇伴は能囃子という物凄い個性の塊のような作品で、これが60年代初頭の日本で作られたことが驚き。

晴海団地に住む最低なクズ一家はじめ、出てくる人出てくる人真っ当な人間が一人としていない世界。『パラサイト』に先駆けること50余年、昭和30年代にこれ作ろうと思ったの頭おかしい(褒めてます)。

このドラマ全体を翻弄する一見上品な悪女を演じる若尾文子の美しさと存在感がそりゃあもう凄いのだけど、地味にそれを上回るのがダメ一家のクズ母山岡久乃。上品な物言いと言ってる内容の酷さと淡々とした佇まいのアンバランスっぷりが凄過ぎる。
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