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エノケンの孫悟空 前編のumihayatoのレビュー・感想・評価

エノケンの孫悟空 前編(1940年製作の映画)
5.0
世界で初めて「西遊記」を映像化した作品であり、和製ミュージカルの礎を築いたと言われている映画。

高峰秀子がチラッと出て全部持ってくという情報のみで前後編DVD購入。
Twitterありがたや。
結果ちょっと歌っただけだったけど。

のっけから大型セット大人数で、詰めきれてないMGM、予算1/50000000のバズビー・バークレーみたいなミュージカルシーンで、マジで真珠湾攻撃の一年前に作られた邦画とは思えん。(褒めてる)
円谷英二の特撮だし、最遊記なのに飛行機や新撰組出てきたり、ギャグ的な楽しさも満載。
後編が不思議の国のアリスばりのカオスサイケぶりで大好物。
参考はオズの魔法使いかな〜。
しっかり小人役者も使ってる。
こりゃ確かに後にも先にも、邦画でここまで本場に近づいたミュージカル作品もない。

アメリカジャズのスタンダードや
「白雪姫」「ピノキオ」の曲も歌われるが、付属冊子によるとこの2作は日本公開前であったのに、なぜこの歌が製作陣に知られているのかとても謎とのこと。
交流があったということだろうし、アメリカのジャズは「敵性音楽」と国が禁止しても完全には取り締まれないほど、庶民に親しまれていた。
この映画の1年後に日米開戦になるのだからなんとも複雑な気持ちだ。

そして岸井明と李香蘭の歌はやっぱ最高。
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