ポンコツ娘萌え萌え同盟

エノケンの孫悟空 前編のポンコツ娘萌え萌え同盟のレビュー・感想・評価

エノケンの孫悟空 前編(1940年製作の映画)
3.3
三蔵法師を唐から送り出す歌とダンスのミュージカルを見て、ああこれはオペレッタ西遊記になるんだろうな、と思った時間が俺にもありました。
蓋を開けてみれば時代設定ガン無視の台詞回しから、時代的にあり得ない飛行機で敵陣に向かい、孫悟空が機関銃ぶっ放し大量殺生を行う姿。終盤ではアラビアンな雰囲気のセットと衣装まで出てくるヘンテコで表現が自由すぎる西遊記。

エノケンを演じる孫悟空をはじめ、猪八戒や沙悟浄の3バカは見た目は力強さもなく、軽快なやり取り。全体的に歌とダンスで旅模様を彩り、コミカルな音使いなど耳心地はいい。基軸がコメディなのもあり事件が起きて緊張感なんて全くない。ただ下手に緊張感があっても作品の雰囲気的にミスマッチだしそれでいいのだ、と思った。

映像面ではスクリーンプロセスやミニチュアの操作など用いたり特撮を用いた演出で楽しい。特に映像内での入れ替わりのトリックが熱い。如意棒投げたら飛行機や機関銃に変化したり、シームレスに姿を化かす。その演出が活きたのが敵の大将との仮装対決だけど、新選組に化けたり、丹下左膳と鞍馬天狗が混じったような謎の仮装があって時代背景完全放棄w