たむ

ファウストのたむのレビュー・感想・評価

ファウスト(1926年製作の映画)
4.3
国立映画アーカイブのサイレントシネマデイズの一本として鑑賞です。
『吸血鬼ノスフェラトゥ』などのドイツのサイレント映画を代表するムルナウ監督の『ファウスト』。
映画史上の名作の一本と言われたり、巨匠の失敗作と批評家時代のトリュフォー監督に言われたり、賛否両論な作品でもあります。

物語は有名ですし、ソクーロフ監督版のようなひねり方もないです。
オープニングの大特撮シーンから凄まじいです。
サイレントの幻想シーンは今の映画では絶対出せないものがあります。
映像のみで全てを伝えるのですから、悪魔がペストをまん延させる禍々しいシーンは、圧巻です。
若干やりすぎを感じさせるほどの画力です。
表現主義の名残りのようなものもあり、階段や壁やドアの歪みが心理表現にもなっています。

幻想怪奇譚でありつつ、根幹の部分ではラブ・ストーリーです。
久々のサイレント映画のスクリーンでの鑑賞の迫力にのまれつつ、神と悪魔の葛藤に古典的な名作を堪能できた映画でしたね。
たむ

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