ナリア

おおかみこどもの雨と雪のナリアのレビュー・感想・評価

おおかみこどもの雨と雪(2012年製作の映画)
3.6
僕の記憶の中にある一番最初の映画体験は細田作品だ
決して産まれて初めて見た映画ではないはずだが、あの異世界との出会いと笛の音を思い返す度、今でも高揚感に満たされる
あの体験がなければ僕はアニメや映画をここまで好きにはならなかったかもしれない

そんな作家の作品をもう何年も見ることを辞めていた
「サイバーパンクを描かない細田に興味はない」と嘯いていた
細田作品の醍醐味が、決してサイバーパンクでないことなんて分かってはいたが、なぜか食指が動かなかった
それはある意味で反抗期のようなものだったのかもしれないし、もっと幼稚な感情を吐露するならば、幼い子供が産まれたばかりの弟や妹に親を取られたような、そんな嫉妬やワガママにも似た感覚だったのかもしれない

そして僕は気づかぬうちに細田というまなざしから巣立っていた(とこの時は思っていた)

観賞後
絶縁していたなにかと和解した後のような感覚だった
素直に細田に今までありがとうと言えてしまうくらいに僕も大人になってしまったなーと清々しくさえ思った
またいつか、お世話になるときが、何かの因果で幼子の手を引いて劇場を訪れる日が来るかもしれないから、それまでブレずに頑張れよって
ナリア

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