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河のfieldのレビュー・感想・評価

(1951年製作の映画)
3.6
淀川長治さんの好きなルノアール、レイ繋がりで観た。印象派の画家オーギュストの血を引いてるのか絵画には疎いし監督も初見なので分からないが春の訪れと共に咲く花々やお祭りで色粉をかけ合う村の子供たち、色彩としても十分に綺麗だ。

負傷し英雄と称えられ空虚感を胸に秘めたジョン大尉を迎える子沢山な英国人一家の恋物語を中心としたストーリー。お祭りのディワリではサロンでドレスを着て踊り、いかにも西洋的な暮らし。
背伸びしたい年頃の妹ハリエットと打算的な所もある少し大人びたバレリーの長女たち、少し距離を置きながらも接してくれるジョンに対し大人になる心の痛みを知ったハリエット、多くが経験のあるであろう初恋から失恋の流れ。母がインド人で西洋の血も引くメラニーはどちらに属するか、アイデンティティの迷いもあったろうな。悩みを抱えたジョンも同じく、幼いボギーの悲劇を機に生き方も学ぶ、全てを認めること。

沢山の人に愛されたいハリエットに対してたった一人の愛で十分なメラニーの恋愛観もベンガル人特有の物なのか。賑やかな市場や工場、雄大な河で沐浴したり瞑想する人々、ディワリで神に祈る神秘的な側面に感じる特有の美。色彩だけでなく積み重ねてきた生活様式そのものが美しかった。
物語の中のラーダとして踊るメラニーの古典舞踊も格好良かったな。
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