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ラ・ファミリアのotomのレビュー・感想・評価

ラ・ファミリア(1987年製作の映画)
4.8
80年を超えるOPEDのファミリーフォトに、いつの時代も人が行き来する廊下の徹底した描写とで、なんだか走馬灯の様でこっちにも老いが伝染してくるほどの出来。同じ階段や同じ場所、同じ天気の演出もまた上手い。中年で荒木一郎化するエゴイストな主人公から始まって、完璧じゃない人間は家族の中には1人もいない。だからこそ面白いって事で実に良いものを観た気分になる。『ニュー・シネマ・パラダイス』然りこの時期の叙情的なイタリアものは結構好き。味気ない核家族時代にあって、誰だか分からんのが出てくるほどのブルジョワ一家の大増殖の図はもはや多元宇宙の何かってくらいに失われてしまったものの様に見えて来る。
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