すきま

バスキアのすきまのレビュー・感想・評価

バスキア(1996年製作の映画)
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ウォーホル展などを見た流れで、手持ちのDVDを再観。
音楽も映像もエピソードも、哀しくて美しい。
囚われの王子の冠の出す美しい音のエピソードは、アートや魂を指しているようであり。結局バスキアは塔から音は響かせられたけど、自由の身になることは映画の中ではできなかったようにみえる。そもそも自由という考え方自体、幻想かもしれない。
ポップ・アートは全くよく分かってないけれど、この映画の刷り込みのせいで、ウォーホルを顔見知りの子の心優しい親友みたいに感じている。
才能や承認欲求を飼いならすのは誰にでもやっかいだし、世話への見返りを求める気持ちも、自然ではあっても当然ではないことを自覚して、ちゃんと抑制すべきだなと思う。
この中でのゲイリー・オールドマンが演じた本人みたいな役と、デヴィッド・ボウイ演じるウォーホルと、デルトロ演じる親友とは、そのことをちゃんと分かって無造作に扱っているように見える。
錨とか重しがあれば、ウォーホルはもっと長く生きれたのか。
ジーナ(スザンヌ・マーロク)のその後も気になるところだ。早目に見出されなかったことで成長できた、と言ってた兼業画家も出てきた。
天才ともてはやされて早く死ぬのも、それを横で見ているのも、遅咲きで花咲くのも、一生アマチュアでいるのも、やめて別の仕事をやるのも、どれも何がいいとか幸せとかいうことではなく一つの人生なのだと、今の自分は思う。
この映画はサントラも素晴らしくて、聴き飽きない。ジョン・ケイル「ハレルヤ」、トム・ウェイツ、ボウイ、ジョイ・ディビジョン、ポーグス、PJハーヴェイ他。
映画もそうだけれど、サントラ盤もサブスクにも入るともっと聴かれるのにな、と思う。作品にとっていい広がり方がどういう形なのかは、わたしは未だわからないけれど、もうちょっと見られていい映画、聴かれていい音楽だとは思う。
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