三四郎

旅路の三四郎のレビュー・感想・評価

旅路(1953年製作の映画)
2.5
戦前から戦後の日本を代表する名脚本家・池田忠雄の作品故に、かなり期待して観たのだけど…、それほどでもなかった。原作は、大佛次郎の朝日新聞連載小説『旅路』。月丘夢路、佐田啓二、岸惠子、笠智衆と、キャストは良いのに、なんだかまとまりがなかった。女性陣が月丘夢路ではなく高峰三枝子で、岸惠子ではなく有馬稲子ならそれでもまだ楽しめたかしら笑

戦争のある意味「後遺症」で賭け事に生死の緊張感を覚える元兵隊の佐田啓二の浮雲のような危うい生活、そして、戦後の華族没落により地位も名誉もなくなり、家でも居場所がなく奥さんにも見放されている男爵、描きようによってはとっても深い話になりそうなのに。原作がつまらなかったのか、池田忠雄の筆もこのころには衰えていたのか。最後、男爵が潔かった。華族の矜持をかろうじて保ったという感じだった。
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