いい意味で、マネキンみたいなカトリーヌ・ドヌーヴがこの作品における味を出していると思います。服を手で払ったり顔をこすったり、衝動的な所作をゆらめく煙みたいに儚げな彼女がやるとなぜか際立って狂気的に見えるので面白い。いよいよおかしくなってしまった彼女には思わずぞっとしてしまいます。
男性恐怖症が悪化した結果見知らぬ男に犯される幻覚をみるわけですが、そのシーンでひとつ注目すると面白いのは「音」だと思います。あえてそうすることで独特の緊迫感を生み出していて、とても興味深かったです。
映画の中に性行為の描写を用いたのはこれが初めてだったらしい。それがこういう映画で使われたっていうのも、なんか面白いなあと思う。