もちお

悪い種子(たね)のもちおのネタバレレビュー・内容・結末

悪い種子(たね)(1956年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

 初観賞です。
 字幕版です。
 NHKのBSでの放送を録画しました。

 怖かったです😫
 少女ローダちゃんが凶悪でした。

 以下、ネタバレ全開のレビューです。
 観賞後にお読みいただけると幸いです🙇

①良かったところ
・ローダちゃんが怖い
 一見いい子なのですが、かなり怖かったです。
 冒頭の癇癪を起こすシーンで、既に不穏でした。
 しかも、問い詰められると、すぐに被害者ぶるのも凶悪でした。
 基本的に「自分じゃなくて相手が悪い」という発想なのですよね。
 強烈でした。
 母親に責められると、話をやたら逸らそうとする姿も印象的でした。

・次第に追い込まれていく母クリスティーン
 娘のローダや出生の秘密により弱っていく姿が印象的でした。
 繊細な演技でした。

・大家のモニカ
 「悪い人ではないけれどお節介」という絶妙なバランスでした。
 実在感がありました。

・亡くなったクロードの母親ホーテンス
 幼い息子クロードを失い憔悴した姿に、胸が苦しくなりました。
 暴走気味なのがつらかったです。
 熱演でした。

・リロイ
 ローダに絡む姿が不気味でした。
 また、ローダの恐ろしさに気づいた後の動揺が印象的でした。

・本編終了後のメッセージ

②個人的にラストが合いませんでした
・はじめに
 観賞後に知ったのですが、当時の規制との関係で元の舞台から結末が変更されたようです。
 製作された方たちは苦慮されたと思います。
 その上で、気になった点を書いていきます。

・落雷
 ラストに至るまでの展開は、とても良かったです。
 病院で生きているローダちゃんが現れた時、ゾッとしました。
 モニカの殺害を匂わせるのも不穏でした(誉めてます)。
 レインコートを着てローダちゃんが外出した時、「まさかお母さんを殺害しようとしているのか……」と冷や冷やしました。
 実際にはメダルを探しに行ったわけですが。
 ただ、落雷はあまり好みではなかったです。
 急にローダちゃんに天罰が下ったようで違和感がありました。
 たしかに正しい着地だとは思います。
 しかしながら、いきなり悪が懲らしめられる展開になったので、映画全体で浮いているように感じました。
 
・クリスティーンの生存
 「生きてて良かった」と安心した反面、物語の衝撃度は下がってしまった印象です。
 また、クリスティーンの夫(ローダちゃんの父)の反応にも、違和感を覚えました。
 病院のクリスティーンからの電話で夫はただ喜んでいましたが、「喜ぶだけなのかな。」と疑問でした。
 彼の視点からすると、娘を殺されかけたので、その点への怒りをぶつけないのかなと少し気になりました。
 あと、クリスティーンはローダちゃんの生存を知って、どう思ったのでしょう。

・最後の出演者の紹介
 和やかな雰囲気が本作の不穏さと全く合っていませんでした。
 モヤモヤしました。
 クリスティーン役のナンシー・ケリーさんがローダちゃん役のパティ・マコーマックさんにお尻ペンペンをするコミカルな場面があります。
 劇中との温度差が大きすぎて、引っかかりました😅

・もっと突き放したラストが良かったです
 当時の規制との関係で不可能だったとは思いますが、もっと突き放したラストの方が好みです。
 クリスティーンは死亡するも、元気なローダちゃんが映って「The End」だったら、個人的には怖すぎて最高でした。

③遺伝の問題
 ローダちゃんの祖母(クリスティーンの母)が実は凶悪な人物であったことが描かれます。
 ローダちゃんが凶行を繰り返す原因とされるわけですが、個人的には物足りなかったです。
 理に落ちる展開ですが、その分ローダちゃんへの恐怖心が弱まりました。
 個人的には「身内に凶悪な犯罪者はいないし、大切に育てたのに、なぜ?」という不条理な展開の方が良かったです。
 そうなると、タイトルから変わってしまいますが😅

④まとめ
 ローダちゃんが怖すぎました😫
 いい映画でした。
 観て良かったです。
もちお

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