オーウェン

野獣都市のオーウェンのレビュー・感想・評価

野獣都市(1970年製作の映画)
3.7
1960年代末から数年間、優れた活劇映画を生んだ”東宝ニューアクション”の隠れた傑作が、この大藪春彦原作の映画化「野獣都市」だ。

工学部の大学生の有間は、銃砲店でアルバイト中に偶然、製薬会社社長の石浜を恐喝した男を殺してしまうが、石浜から銃器と車の腕前を買われてボディガードを務めることになる-------。

大藪春彦の原作と異なり、2人の主人公の父子にも似た関係が印象的だ。重厚かつ不気味な存在感の名優・三國連太郎と破滅に向かって突き進む黒沢年男の温度差の対比が、実にいい。

リンチを受け廃人になった三國は、黒沢ならずとも驚愕の衝撃映像だ。
また、三國の娘役の高橋紀子の小悪魔ぶりもキュートだ。

ゴミ埋立地を舞台にした決闘シーンや暗闇でのクライマックスなど、職人監督・福田純のシャープなハードボイルド演出が光っている。

そして、音楽の佐藤勝は「アクション映画ではこれがベスト」だと語っており、ブルーベル・シンガーズの主題歌「疎外者の子守唄」もひりひりと身にしみる。
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