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「雲の墓標」より 空ゆかばのmhのレビュー・感想・評価

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超高学歴な特攻隊もの。
原作はかなり好きで、三回くらい読んだ覚えがある。
とはいえこの映画は完全に埋もれているし、レビューでもいまひとつなので、どうせいいできではないのだろうと思っていたら、いい意味で予想を裏切ってくれる。
まず、京大出身の予備学生という点がふるってる。学校で取り組んでいた万葉集の研究を途中でやめて予科練に入隊。
学友との交流などにも高い知性が垣間見れる。お庭が素晴らしいので見せてもらえませんか→ヒロインとの出会いもいいね。
戸惑いながらも次第に戦時仕様に変わっていく意識の流れなどが興味深かった。それが大げさではないごく自然な反戦アピールにつながってる。
みんな大好き田村高広が主人公のイメージにぴったりハマってる。この父からなんで正和?
ア号燃料についてのくだりも面白い。
5分しかない家族との別れは駅のホームで。短い時間に家族でお弁当食べるのとかほんと泣ける。
続く滑走路に見送るメンバーが帽振れしてたり、最後の晩に入湯上陸から帰ってきた友だちか花束抱えてくるなど、印象に残るいいシーンが多かった。
台湾沖航空戦の会話などが普通に交わされていたけど、その大勝利はまぼろし(デマ)だったとかのフォローはなし。
海軍兵学校出身も当時はそうとうな高学歴だが、京大出身の主人公をやっかむくだりがある。ルサンチマンを抱えた彼らが、学徒兵を指導してるのが、地味に怖い。
空の特攻兵器、桜花を扱った映画もレアですね。
学徒出陣もののなかでは「海軍特別年少兵」がいちばんだと思ってるけど、これもすごかった。
原作が好きなせいもあってなのか、この映画もかなり面白かった。
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