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UN-GO episode:0 因果論のブタブタのレビュー・感想・評価

UN-GO episode:0 因果論(2011年製作の映画)
4.0
久々に見てもやはり面白い。
主人公の声はのちの前田敦子の夫・勝地涼。
プロ声優でないにも関わらず相棒の「因果」を演じる豊崎愛生との掛合い等全く遜色なし、声の演技も上手い。
ノイタミナで放送された『UN-GO』劇場版で前日譚。
『UN-GO』は戦後無頼派を代表する作家・坂口安吾の一連の探偵小説『明治開化安吾捕物帳』を原作に、大胆に改変し舞台設定をパラレルワールドに、テロ戦争で荒廃した近未来日本の戦後にしたもの。
この「episode:00 因果論」は『復員殺人事件』を原作に主人公が何故、最後の名探偵・結城新十郎となったのか、そしてギアス能力(?)を使う美少年・因果との出会いが描かれる。

『復員殺人事件』は坂口安吾が連載誌休刊により中絶した作品で、のち高木彬光が書き継いで『樹のごときものあるく』として発表するも、この結末迄ある『完全版』は長らく絶版でしたが先頃河出文庫で『復員殺人事件』として復刊しました。

安吾捕物帖では事件が起きてまず隠居の勝海舟(アニメでは通信システムの会長)がコレを世間的に納得させる形で解決し、しかし真相は間違っており紳士探偵・結城新十郎が誰にも知られず真実を暴くパターンでアニメもコレを踏襲している。

episode:00のタイトル通り主人公二人の出会いと「因果」やラスボスである「別天王」の正体について語られる。

探偵物・ミステリーだけでなく異能力バトルあり、神や悪魔の眷属が関わってたりディストピア近未来SFでもあり可也実験的なアニメだった。
惜しむらくは坂口安吾の探偵小説最長で最高傑作の『不連続殺人事件』もやって欲しかった。
ラストでSchool Food Punishmentによる主題歌How to goが流れ『UN-GO』第一話へと続くエンディングもかっこいい。

ノイタミナでの、この坂口安吾の『UN-GO』江戸川乱歩の『乱歩奇譚』と探偵小説を原作とするシリーズ、そろそろ次の作品をやって欲しいのですが、自分的には夢野久作の『ドグラ・マグラ』や『少女地獄』を大胆にアレンジして近未来のパラレルワールドを舞台に架空の満州や中国大陸で『暗黒公使』が暗躍するなんてアニメをやって欲しいのですが。
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