コーカサス

愛と死をみつめてのコーカサスのレビュー・感想・評価

愛と死をみつめて(1964年製作の映画)
3.3
若くして亡くなった少女ミコこと大島みち子と恋人の青年マコこと河野實の書簡集を、斎藤武市監督&吉永小百合と浜田光夫の純愛名コンビで映像化。

死と隣り合わせにいながらも、常に明るく健康的に振る舞う吉永演じるミコの姿が切ない。
そんな吉永の熱演もさることながら、数多くの小津作品に出演するも「明治の男は泣かない」という理由で、唯一涙を流す場面だけは拒否し続けた父親役の笠智衆が見せた涙には驚きと感動を覚える。

また、笠とは後に山田太一原作の傑作ドラマ「ながらえば」で共演を果たすことになる入院患者役の宇野重吉も素晴らしい。

一方で、吉永と相部屋になった北林谷栄、ミヤコ蝶々、笠置シヅ子の宗教論争は今も謎だが、病に冒された人が最期にすがるのは神仏の力なのだと解釈した。

“病院の外に健康な日を三日下さい…”
マコの日記が重くのしかかる。
健康であることがどれだけ尊いものか。
“生かされている”という感謝の念を改めて知らされた。

3 2021