半兵衛

フリーダム・ライターズの半兵衛のレビュー・感想・評価

フリーダム・ライターズ(2007年製作の映画)
4.5
人種のるつぼと化して差別や偏見が飛び交う最悪な状況の教室のなかで、彼らを学問で縛らず工夫した授業のなかで自分の心と向き合わせて成長させようとする主人公の先生の熱意が素晴らしく込み上げてくるものがある(読書が趣味の私にとって本で彼らを導いて心の世界を豊かにさせるというやり方は心に響くものがあった)。生徒も先生もいずれも良い環境にいるとは言えず、時には仲間から冷たい仕打ちを受けたり両親に理解してもらえなかったりと散々な目にあったりするがだからこそ彼らが掴んだ差別と向き合う人間としての正しい心と人種を超えた仲間との絆が一層輝く。

先生役のヒラリー・スワンクによる熱演が見事で、
理解者も少なく良い状況とはいえないなかで挫けそうになりながらも生徒たちに体当たりでぶつかっていく姿が熱い。ヒラリーを見守るスコット・グレンのいぶし銀的な渋い演技も◎。

でも一番熱かったのは少年院に行っていた黒人生徒だな、当初は先生を馬鹿にしていたのに彼女の真摯な態度に影響を受けて授業に取り組むように。そして授業の一環で「アンネの日記」を読むことになったとき、アンネが死んだことを知りショックを受けた生徒の一人が先生に怒りをぶつけた際に言った彼の「アンネは死んじゃいない」という発言にグッときた。

学園ものの定番である卒業をエンディングにせず、「フリーダム・ライタース」の真の意味が解るところで終わらせるところが憎い。

レンタルで借りて感動してDVDをAmazonで購入したのだが、特典が充実していて更にこの映画の世界に没入できた。そして映画に出演した役者の一人が、ギャングに絡まれた末理不尽な理由で殺されたことにショックを受ける。

ちなみにヒラリー・スワンクの最近の状況を知りたくて検索したら、48歳にして双子を妊娠したと知りびっくり。
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