カポERROR

フリーダム・ライターズのカポERRORのレビュー・感想・評価

フリーダム・ライターズ(2007年製作の映画)
4.5
教師と生徒が強固な絆を育む感動の物語。

貧困層やスラムで育った子らを寄せ集めたクラス。
そこに赴任してきた新任の担任教師。
一人一人の生活、環境、人種差別…山積する問題をしっかりとフォーカスした上で、「ナチスのホロコースト」という重い題材を敢えて取り上げて、問題から逃げずに向き合うことの大切さを教師と生徒が一緒に学んでいく…この作品はそんな物語です。

例えば、日本でもよくある社会科見学。
大抵は歴史博物館を周回して押し付けがましい解説を聞かされて時間が来てお終い…とこんな体ですが、担任のエリンは決してそんなおざなりで名ばかりの教育を良しとしません。
作中ではホロコーストの実被害者と対面し、語り合い、思いを日記や手紙にしたためさせます。
『命の尊厳とは何か』『差別とは何か』『問題や試練に直面し人は何を成すのか』一人一人に自分の置かれた立場と重ね合わせて心ゆくまで考えさせるんです。
ひとりの教師のその情熱が、教育とは無縁だった荒んだ生徒達の心に素晴らしい変化をもたらします。
“いやいや理想と現実は違うよ”と揶揄される方もいるかもしれませんが、これは紛れもない実話です。
教育の向かうべきベクトルを観た気がしました。

この素晴らしい作品に携われた方々に、心からの賛辞を贈りたい。
未見の方は是非ご鑑賞下さい。
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