一

猫と庄造と二人のをんなの一のレビュー・感想・評価

猫と庄造と二人のをんな(1956年製作の映画)
-
森繁もベルさんも柄に合わない役どころの京子さんもみんな素晴らしい。もちろん猫ちゃんも名演です。基本は意地悪な喜劇で笑っちゃうような場面や台詞ばかりで実際すごい楽しいんだけど、人間不信というより女性不信・女性恐怖のミソジニーと猫への愛情が次第に比例しながら増大していくのが滑稽以上にペシミスティック&惨たらしく映って何とも言えない気持ちに。人間ウンザリ、畜生可愛い好き…ってわからないこともないけど身も蓋もなくない?とはいえ猫にメロメロな森繁はイイ…。谷崎の脚へのフェティシズムもしっかり映像化。家を出た五十鈴と森繁が海辺で会話するスリリングなロングショットから、消波石の上に飛び降りた五十鈴の顔のものすごい俯瞰(全編ベルさん顔芸すごい)など、三浦光雄の撮影も良い。あと忘れてはいけない哲学者・山茶花究、ウケた。
一