てつこてつ

LIMIT OF LOVE 海猿のてつこてつのレビュー・感想・評価

LIMIT OF LOVE 海猿(2005年製作の映画)
3.7
期待通り、第一作を遙かに上回るスケールの大作で大満足!
調べてみたら2006年の日本映画の実写映画部門での興業収入1位の大ヒットだったとか・・。ああ、これは劇場の大スクリーンで鑑賞すべきだったなあ。

遭難して沈没の瀕した瀕した豪華フェリーの中で繰り広げられるレスキュー劇。この実際の巨大フェリーを使った外観が凄いし、徐々に傾いて沈没していく様子は実物大の模型を製作したのか、それともCGなのか判別できないほど、日本映画のクオリティも高いレベルに上がってたんだなあと感激。「タイタニック」とまでは言わないけれど、どんどん浸水して油が燃え盛る船内のセットなんて「ポセイドン・アドベンチャー」ばりじゃん!

一番驚いたのは、第一作の翌年に製作されているのに、主役の海上保安庁の精鋭レスキュー隊員を演じる伊藤英明の肉体が逞しく見事に変貌している事。顔つきさえも、顎がガッシリと首回りも太くなり、より精悍さを増している。この年代でこの役を演じることが出来たのは確かに伊藤英明以外は考えられないくらいのハマリ役で彼の代表作と言ってもいいんだろうな。

第一作でバディを組んでいい味を出していた海東健が出演していないのにはガッカリ。一瞬、何かの不祥事でも起こしたのかと勘ぐってしまった。シレッと佐藤隆太がその役どころを射止めているが、まあ、元々芸達者な役者さんなので、違和感をそれほど感じることなく、すぐに慣れた。

豪華なのは第一作の藤竜也を受け継ぐ司令官の面々。時任三郎、美木良介、名バイプレーヤーの光石研と津田寛治が揃うとは、これ以上は望めないほど見事なキャスティング。濃い顔繋がりでドサクサ紛れで石黒賢も出ているが、お坊ちゃんキャラのイメージを一変させるカッコ良さ。まあ、あの海猿の潜水服を身に纏えば、誰でもカッコ良く見えてしまうもんだね。

船内シーンのセットがそこまで沢山作られてないのを見事に補っているのが、取り残された乗客役を演じた吹越満と大塚寧々。やっぱり二人とも上手いなあ。

そんな中での加藤あい・・。脚本での彼女の登場のさせ方に若干無理があるのだが、二番手にキャスティングされている以上、それなりに出番を増やしてる感が半端なく、彼女の登場シーンが来る度に、テンポが悪くなってしまう。あと、時代だったんだろうが、コギャル風のヘアメイクのスタイリングや、女性の主要キャラクターが彼女と大塚寧々だけなので、お芝居の部分で大塚寧々と比較するとどうしても劣ってしまっているのが歴然。声質の問題かなあ・・。ラストの「チェックイン!」なんて見ているほうが恥ずかしくなるような台詞、よく言えたなあ。

いずれにせよ、暑い真夏に見るにはピッタリの超大作。残り二本も楽しみだし、2005年時点でこのクオリティの大作が製作されていたってことは、「キングダム」とか「東京リベンジャーズ」なんかの迫力はもっと上回ってるんだろうな。
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