イチロヲ

第十七捕虜収容所のイチロヲのレビュー・感想・評価

第十七捕虜収容所(1953年製作の映画)
4.0
ナチスドイツの巨大収容所でクリスマスを迎えることになった米兵たちが、兵舎内に潜伏しているスパイを炙り出そうとする。ブロードウェイの舞台劇を映像化している、サスペンス・コメディ。

前半部は、収容所の特殊な日常風景を淡々と描いていく作風。タバコを景品にしたネズミ競争を開催したり、工業用アルコールを使用した酒の醸造に着手したり、遠方の女性収容所を手作り望遠鏡で覗いたり、所内の様子がユーモア満点に描かれる。

中盤部に入ると、兵舎でのスパイ捜しが本格的に動き出す。第一容疑者にされた主人公(ウィリアム・ホールデン)が、「俺、どうせスパイ扱いだもんね」という立場から掛け合いを見せていく。

ナチス将校が捕虜に対してウィットに富んだ会話で接してくるところが、却って怖さを強調している。町の不良が弱者からカツアゲするときの「お金もってますぅー?」に通じるものがあり、フレンドリーだからこその居心地の悪さが伝わってくる。
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