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第十七捕虜収容所のCANACOのレビュー・感想・評価

第十七捕虜収容所(1953年製作の映画)
3.8
1953年公開、ブロードウェイの舞台劇を基に、ビリー・ワイルダーが共作で映画用脚本を仕上げ、監督を務めた作品。ビリー・ワイルダー作品鑑賞10作目。

ドイツ軍に捕まったアメリカ空軍の軍曹たちの話だが、レビュー通りの面白さで、いわゆる戦争物とは全く違う仕上がり。『ジョジョ・ラビット』好きの人に勧めたい。
第4兵舎内でストーリーが展開するほぼ密室劇、途中からまさかの犯人当ての要素も加わるので、サスペンス好きの人も楽しめる。

□あらすじ
セフトンという頭の回る男がいた。彼はドイツ軍に捕らえられたアメリカ軍曹の一人だが、「自分の身は自分で守る」という信念のもと、第4兵舎内でバーを開いたり、ネズミダービーをやったりなどして、資産(タバコなど)を得て、ドイツ軍とも取引していた。
同じ兵舎にいる仲間たちもそれなりに楽しみを見出しながら過ごしていたが、脱走を試みた仲間の2人が、“待ち構えていたかのように”待機していたドイツ軍に射殺されたのを機に、皆が「この中にスパイがいるのでは?」という疑惑を持ち始める。真っ先に疑われたのはセフトンで……。そこから始まる、あるアメリカ軍捕虜グループのスパイ探しストーリー。

本作でウィリアム・ホールデンは、アカデミー主演男優賞を受賞。彼が演じた主役・セフトンの一匹狼感がよい。そして、仲間たちが面白い。ビリー・ワイルダーらしい“お笑い担当”はアニマルとハリーの2人で、ディズニーキャラのように日々何かしらをしでかす。この作品がよいのは、捕まえているドイツ軍側の人間もちゃんと人間味をもたせているところ。小さいクリスマスツリーを配ったりとか、“生活”がちゃんと描かれているのも、ビリー・ワイルダーらしい。

そもそも原作がよかったのか、大人数が出てくるにもかかわらず、キャラの書き分けがしっかりしていて「その他大勢」になっていないところにも、質の高さを感じた。

ラストもすっきり。Filmarksの得点が高いことに納得。

メモ
・情婦
・アパートの鍵貸します
・お熱いのがお好き
・サンセット大通り
・7年目の浮気
・あなただけ今晩は
・深夜の告白
・お熱い夜をあなたに
・ねえ!キスしてよ
・第十七捕虜収容所
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