くろねこヤマ子

26人のコミッサールのくろねこヤマ子のレビュー・感想・評価

26人のコミッサール(1932年製作の映画)
4.0
好きな作品のひとつ
「放浪の画家ピロスマニ」
を撮った監督の
お父上の撮られた作品
ということで鑑賞。

1933年に作られた
上質なアジテーション作品
とでも言うべきか。
ロシア左派万歳という流れ。

舞台は1918年。
巨大石油生産地である
バグー県の史実を、
多少弯曲がありつつも
わかりやすく且つ
表現豊かに伝えている名作。

イギリスに助けを求めた右派により
追い出されちゃったロシア左派、
26人の人民委員(コミッサール)は
結果的に処刑されちゃうんだけれど、

死んだ革命家たちは
まぼろしとなって
自らの名前のついた装甲車から
満面の笑みで手を振りながら
再びバグーの地を踏むというラスト。
ファンタジー仕立て。

作品で現れた装甲車は
撮影当時最新式のものらしく、
そりゃまぁカッコいいよね!
とか思う。
そして彼らの名前付き装甲車…
実存したらしい。

サイレント映画だけれど、
付けられた音楽に起伏があり
実にドラマティック。
確かに心が揺さぶられる感じ。

ここには書ききれないので
割愛するけれど、
上映後、
伊藤順二先生による
バクー県近辺の歴史的背景の
レクチャーがあったからこそ、
今作品を面白く思えたのかも。

質疑応答の際に仰った、
グルジア映画は
ロシアのオリエンタリズムを
映像化した成功例
かもしれませんね
って台詞に萌えました。確かに!

尚、1980年代に
岩波ホールで公開されたものは
紛失したらしく、
改めてロシアから取り寄せて
日本語字幕を付け直したとの事。

なんかありがたい作品だな。
メモメモ。