高畑勲監督による福岡県柳川市の水路網「掘割」とそれに結びついた市民生活を描くドキュメンタリー映画。
基本的にはＮＨＫの教育用映像的な質感で所々教養を感じさせる語りが入るものの劇的な演出は一切なくナレーションベースで掘割のメカニズムと歴史やそこで暮らす人々の生活、行政主導による掘割再生プロジェクトなどが極めて淡々と説明されていく。福岡県柳川市で暮らす人々の映像や加賀美幸子と国井雅比古のナレーションはその時代の記憶を強く思い起こさせ深い味わいがある。
地味な話ではあるのだが地味で小規模なトピックをこの上なく詳細に語りつくすという点においては非常に贅沢なつくりの映画であり、現代ではこのような映画にここまでの労力が投入されることは今後あり得なさそうという点では貴重な映画であることは間違いない。
