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ザ・ライト -エクソシストの真実-のYAEPINのレビュー・感想・評価

3.8
『ヴァチカンのエクソシスト』から、今度はアンソニー・ホプキンス演じるエクソシストを観る。

全体的に寒々しくくっきりしたコントラストで画面が彩られ、冒頭から死が漂う。
観客を激しい怪奇現象で驚かすというより、静かな恐怖で包むホラーミステリーの雰囲気である。

アンソニー・ホプキンス演じるルーカス神父は、現実主義的に悪魔と対峙していくベテランエクソシストであり、クライアントの状況によっては医学的な対応をとることもある。
他の作品でも描かれるように、クライアントの抱える不具合の原因を、精神疾患か演技か、本当に悪魔なのかを究明する。
究明する方法としては時にエクソシスト自身によるフェイクや演技も使われ、ハッタリが上手いキャラクターとして描かれていた。
助手となる学生に、儀式前に施す赦しはかなり適当で面白かった。

その学生は、信仰を疑いを持ちつつ、実家の葬儀業から逃げるために大学で神学を修めようとしている。
エクソシストを描く作品に、ベテランとの対比として神父の卵が出てくることはあるが、ここまで神や悪魔の存在を信じようとしないキャラクターも珍しい。
それには、母の死と父とのわだかまりが原因であることが後で分かるが、彼の感覚は現代の若者、とりわけキリスト教信者ではない私のような視聴者にとって共感できるものだった。
悪魔を信じることはすなわち神も信じることで、それこそが悪魔祓いに効果をもたらすということが本作では示されていく。

学生を演じるコリン・オドナヒューは、徹底して悪魔祓いに疑念を持ち続ける冷たい演技が素晴らしかったが、本作以外の出演が少ないそうで残念だ。

それにしてもアンソニー・ホプキンスは、味方でいるとこんなに心強いことはないが、決して敵に回したくない。

本作で指摘されていた通り、キリスト教圏ではない人でも「キリスト教で信じられている」悪魔に憑かれることはあるのか気になった。
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