シカク

パルプ・フィクションのシカクのレビュー・感想・評価

パルプ・フィクション(1994年製作の映画)
4.6
作中で表現される、あらゆるイメージやモチーフは、タランティーノの感性の、とても深い沼の底から汲み取って、構築された、タランティーノ以外何者でもない唯一無二の傑作。

全てのシーンが好き過ぎて、究極、台詞がどうでも良かったり、抜けていたり、登場人物達の行動や展開は破茶滅茶なんだけど、寸分違わずこれしかあり得ないと思ってしまう。
キャラクター造形が抜群に上手いんだと思う、コイツはこう言う、こうやる、逆に、こういうこと言って、こんな事するヤツは、こういうヤツだ、そして、こうなるんだと。冒頭の会話なんかも、最たるものだし、なんか間が抜けて、取っ散らかっている様で、完全に一致してるんですよね。キャラクターの細かい主義、行動理念の辻褄が合って来る。それは勧善懲悪、因果応報を見せるという軸をしっかり通しているからだと思う。

ブッチが古巣のアパートへ、時計を取り戻しに行く時の、背後からの長回しで追って、垣根や空き地みたいな所を、洗濯もの掻き分けたり、フェスをくぐったりして向かうシーンが何気にしっくり来た。長回しや急に、寄りのどぎつい絵に切り替わったりと、緩急が効いている。後、今回気づいたけど、冒頭の方、ヴィンセントがおそらく初対面の、ブッチにこれでもかとめちゃくちゃ悪態ついてる(笑)。それに顔色を変えず動じず、ただ落ち目のボクサーの哀愁を漂わせるっていうね(笑)。時系列があべこべだから、こういったシーンも妙に頭にこべりつき、気に入っている。

次作で、これを越えられるか。いや、タランティーノならきっとやってくれる。
シカク

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