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パルプ・フィクションのCANACOのレビュー・感想・評価

パルプ・フィクション(1994年製作の映画)
3.3
1994年公開。『レザボア・ドッグス』の2年後に公開された、クエンティン・タランティーノ監督・脚本・出演作品。

タランティーノ監督を面白いとちゃんと認識したのは『ジャンゴ』からだった。
2000年公開の『スナッチ』や2020年公開の『テネット』などの作品がある今、本作を見返すと、とても簡単な時系列の入れ替えで、頭を悩ませるような構成ではない。しかし当時は新鮮だった。面白いというよりは、映像含めてお洒落な映画だからという理由で『ジャッキー・ブラウン』まで観ていた(『キル・ビル』は話題性だけで観た)。そして20年以上経ち、どれも完全に内容を忘れた。

1900年頃〜1950年頃に販売された『パルプ・マガジン』(大衆向け三文小説を編集した雑誌の総称)に掲載されたコンテンツを『パルプ・フィクション』と呼んだという。あらためて観るとタイトルの通りで、ギャングの用心棒2人を主人公にした、与太話に近い“神と救い”の物語に仕上がっている。

メインで登場するのはジョン・トラボルタとサミュエル・L・ジャクソン演じる用心棒2人。あとはブルース・ウィルス演じる落ち目のボクサーと、ヴィング・レイムス演じるギャングのボス。ボスのオンナ、ミア役のユマ・サーマンはヒロインでもなんでもない、ただの気ままなヤク中&ニコ中。メインビジュアルの美しさと実際の役回りとのギャップが楽しい。ボクサーの彼女・ファビアンと女性タクシー運転手のエスメラルダは魅力的。

神と救いを題材にしているだけあり、本作は登場人物たちの運命の明暗がはっきりしている。『ヘイトフル・エイト』のようなカオス感はないけど、すんでのところで救われる人がいて、”神が通った”のかなと思わせる。悪しき心の中にある善を磨くこと。それが偶然を引き起こし救済されるなら、世の中は悪くない。

□メモ
ネット上に、ツイストコンテストで獲ったトロフィーは勝ったのではなく盗んだものだという情報があった。その理由として、ボクサーのブッチが自分のアパートに戻る途中で聞こえるラジオから、トロフィーが盗まれたというニュースが流れるからと書いてあったが、どうやらただの噂らしい(実際はJack Rabbit Slimのラジオ広告)。
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