かじドゥンドゥン

パルプ・フィクションのかじドゥンドゥンのレビュー・感想・評価

パルプ・フィクション(1994年製作の映画)
3.2
冷酷なギャングのボスとその若妻、手下の二人(片方の黒人は、毎回人を殺めるたびにかっこをつけて唱えていた聖書の一節の意味をよくよく考えるうちに信仰に目覚める)、電話一本で駆けつけて手際よく遺体を処理する老紳士、ギャングにもちかけられた八百長試合を裏切り、別ルートで儲けた金で女と高飛びしようとするボクサー、地下室に男を監禁しておかすゲイの警官、それをそばで見ながら恍惚とする相棒の商店店主、意表を突いてレストランで強盗を働く素っ頓狂なカップルなど・・・、ユニークな連中がそれぞれしでかした事件がたちまち交差して絡まって、奇妙な物語を紡ぎ出す。

何かに収斂していくような感覚がまったくなく、もはや「あらすじ」を問うこと自体がナンセンスにも思える。言わせたいセリフや撮りたい画ありきで、それを実現するための口実としてストーリーをでっちあげましたといわんばかりの潔さがある。計算され尽くしたゲスっぽさで、それが翻ってスタイリッシュに見えたりもする。たまにはこういう反・物語的な映画もいい。