夜行列車に乗ったカリート

パルプ・フィクションの夜行列車に乗ったカリートのレビュー・感想・評価

パルプ・フィクション(1994年製作の映画)
4.0
タランティーノ監督作。
強盗犯、ギャング、ボクサーなどが交錯するクライムストーリーで、雑多な話がパルプ紙の如くクルクルと出てくる大衆娯楽作。

出演者がやたら豪華にも関わらず、どの登場人物にも味があって、出演者全員を活かしきって完結している上手い映画です。同監督の中で最も好きな作品。

タランティーノの凄い所は、「どうでもいい雑談」を映画の中心にした事でしょう。
物語を構成するときは主題をベースに起承転結を決めて、何がテーマなのかを視聴者に伝えたり示唆したりするもんですが、本作にはそれが用意されてないです。
中身の無い雑談話を次々と見せて、それを一本の軸で上手く繋げる。まぁよくある手法といえばそうなんですが、これを成功させるには各ストーリーがきちんと面白くなければなりません。そして本作は、その雑談パート全てが面白い。

ヴィンセントとジュールスのバーガーの話なんてずっと聞いていられるし、ミアとの食事シーンは見ていて飽きない。
クリストファー・ウォーケンなんてほんの一瞬の出演でしたが、尻の穴の話は強烈なインパクトだし、なにより笑えます。
そしてあんなに長々と逸話を語った後、金時計をシュパッ!っと取っていく子供の頃のブッチも良いキャラ。
あと謎の覆面男とか、謎過ぎる。

本作のように大衆娯楽に振りきった内容も、確立された映画ジャンルの一つでしょう。
客に媚びろとは全く思わないですが「何も残らなくても見てくれた人が面白いと感じてくれればそれで良い」というのは、作り手の一つの姿勢として大事な要素です。

「なんなよく分からんかった」…と思うか、「中身ゼロだけど面白かった!」…に分かれる映画ですかね。自分は素直に楽しめました。

あとどうでもいいけど、ブルース・ウィリスのちんが一瞬だけ映り込みますが、皆さんスルーしましょう。