Mikiyoshi1986

安藤組外伝 人斬り舎弟のMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

安藤組外伝 人斬り舎弟(1974年製作の映画)
4.1
11月28日は東映実録路線を牽引したスター俳優・菅原文太さんの命日。
本当に早いもので、今日で没後3年が経ちます。

暴力!暴力!そして暴力!!
戦後の混乱期を暴力だけでのし上がっていった安藤組伝説の大幹部・花形敬をモデルに、
文太さん演じる日向謙の狂犬ヒストリーを迫真のタッチで描いた暴力エンターテイメント『安藤組外伝 人斬り舎弟』

一去年逝去されたリアル・スカーフェイス安藤昇がかつて率いた安藤組の勃興クロニクルに準え、
それを支えた血気盛んな構成員たちの勢力抗争劇を描破!

この時、文太さんは実録やくざ路線の火付け役となった『仁義なき戦い』五部作を撮り終えたばかりで、
一方の中島貞夫監督は本作が初の実録やくざ作品となり、以降中島監督は深作と並びその筋でメキメキ頭角を表してゆくこととなります。

やたら得意の絶頂にいらっしゃる安藤昇の武勇ナレーションが嘲笑を誘いつつも、
最凶のアウトロー文太さんと辰兄の二枚看板が迸るエネルギーを噴出しながら戦後渋谷の縄張りを拡大していきます。

しかし安藤組の躍進によって亀裂が生じ始める熾烈な内部抗争。
組織の巨大化と共にお荷物になってゆく暴虐の徒・日向謙。

文太さんの狂犬ぶりは『人斬り与太』石川力夫、『仁義なき戦い』美能幸三、『九州進攻作戦』夜桜銀次、そして『人斬り舎弟』花形敬と、
モデルとなった実在ヤクザを一層魅力的なキャラクターへと昇華させ、東映実録路線の最盛に寄与しました。

渡瀬恒彦と安岡力也の凄惨な激闘シーンが素晴らしかったり、ボッコボコにされる名和宏が一瞬バナナマン日村に空目したり、中島式マクガフィンのアイロンが気になったりもしますが、
一番心を鷲掴みにされるのは何と言っても片桐夕子が吐く艶言
「ヤッダァ~あぁ~ン!」
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