shibamike

闇のカーニバルのshibamikeのネタバレレビュー・内容・結末

闇のカーニバル(1981年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ナレーション「ミーケー3分クッキング♪」

BGM:タラタッタタッタッタ♪
タラタッタタッタッタ♪
タラタッタタッタ タタタタ タッタタッタ♪

ナレーション「愛は食卓にある。キユーp…ミーケーの提供でお送りいたします。」

講師 柴三毛「今日のお料理はカレーです。
材料は以下です。」

材料「以下です。」
豚肉:200g
じゃがいも:中2個
人参:1本
玉ねぎ:1個
カレールゥ

講師 柴三毛「まず玉ねぎをみじん切りにして、弱火で炒めます。」

玉ねぎ🧅「炒めます。」

講師 柴三毛「そして、じゃがいもを一口サイズにカット。にんじんは1本すべてすりおろします。」

じゃがいも🥔「一口サイズです。」
にんじん🥕「すりおろします。」

講師 柴三毛「玉ねぎが飴色になったら、すりおろしたにんじんを加え、炒めます。」

フライパン🍳「炒めます。」

講師 柴三毛「そこへ豚肉を入れ、豚肉が白くなるまで炒めます。」

フライパン🍳「炒めます。」

講師 柴三毛「その後、じゃがいもを入れて炒めます。そこへ水650ml程度を入れ、10分煮込みます。」

フライパン🍳「煮込みます。」

講師 柴三毛「アクを取り、カレールゥを入れ、しっかりルゥを溶かし、10分煮込めば完成です。」

カレー🍛「完成です。」

講師 柴三毛「今日はここまでです。」

BGM:タッタラッタッタ チャン♫

ナレーション「ミーケー3分クッキング♪」


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子持ちシシャモであるシングルマザーロッカー、クミの日常と非日常を切り取ったらしい?作品。日常はカラー、非日常はモノクロ。
 ガーエーではモノクロの非日常シーンが大半を占めるのだけれど、この非日常の部分がまさしく「闇の」カーニバルそのものというかこの世の地獄みたいな代物で、我々観客を身体の芯から凍りつかせる。

クミは普段、一人息子を可愛がるトッポイロッカー母ちゃん、つまりロッ母ちゃんという感じなのであるが(カラーの日常)、ふと息子を友人に数日間預けた途端、別人のごとく危険な女に生まれ変わる(モノクロの非日常)。
 暴力、喧嘩、セックス、ひもパン、ジャンキー、クスリ、酒、乱痴気騒ぎ、火葬場荒らし、首締めアナルファック、殺し、ピストル、テロ計画…と物騒なことばかり巻き起こる。
始終、クミや連中について回るのは血と退屈。誰かから血が出ているときは退屈じゃない。誰からも血が出ていない時は退屈。

映画を観ていて一番強く感じたのは、二面性ということについてであった。
陰と陽。正と負。表と裏。男と女。凸と凹。天使と悪魔。チンコとマンコ。昼と夜。黒と白。オンとオフ。正と負。健康と病気。経済成長と貧困。マジョリティとマイノリティ。強者と弱者。メジャーとインディ。生と死。興奮と退屈。昼と夜。1と0。チンコとマンコ。破壊と創造。浅野温子と浅野ゆう子。

 日中に目一杯活動したら、夜間に休息を取らなければならない。これがありとあらゆるものの鉄の掟と思う。どんな偉人であらうが、前衛芸術家であらうが、マッドサイエンティストであらうが、ずっと起き続ける訳にはいかないし、ずっと沈み続ける訳にもいかない。うまいことバランスを取らなければならない。そこをクスリとかでズルしちゃうと人間からどんどん離れることになってしまうと思う。
 都会化していくポジティブな活動をしっぱなしの上品な東京には、休息としてその真逆が必要である。その1つが本作のやうな表現だったりするのであらう。本作は間違いなくエグく下品極まりない。エグいけれど、我々と無関係の話かと言うと、実際無関係だと思うけれど、東京を一個の人格としてみなした場合、やはり必要なもののやうに思う。
生真面目さうなサラリーマンには、公園の茂みでの男娼買い。頭の狂った活動家には東京爆破の夢。浮浪少女は火葬場で盗んだ赤の他人の遺骨を路上で販売(誰がだうなったら買うんだっつーの!)。新宿東口には着飾った人が溢れ、光のカーニバル。その澄ました彼ら彼女らの反対が闇のカーニバルの彼らなのであらう。

本作のことをエグいエグいと喚き散らす自分であるが、特にエグかったのは以下の3つ!

【1. 牛乳配達の兄ちゃんが薬中のジャンキーにボコボコにされるシーン!】
早朝、自転車で牛乳配達をしていた兄ちゃんが機嫌の悪いというか狂った凶暴なジャンキーにいきなりボコボコにされる!道一面に牛乳瓶が砕け散り、その破片の上へまともに全身を叩きつけられて血塗れで悶絶する兄ちゃん!
このシーン、白黒のモノクロなのだけれど、牛乳の白と流血の赤が混じり合ってショッキングピンクになっているであらうと思わせて、ゾゾゾとした。ゾゾゾタウン!

【2. 夜の公園で美少年がホモリーマンにアナル強姦殺人されるシーン!】
強姦、と言いつつ一応売春。夜の公園の茂みで美少年が顔馴染みのホモリーマンにアナルを購入されるのである。そいで後背位にて性交渉するのだが、興奮のリミッターの外れたおっさんリーマンがあらうことかピストン中に美少年の首を強く締める!哀れ美少年はオッサンの一度の快楽の為に命を落としたのであった!
…で、まだ終わりじゃない!こっからが凄い!リーマンは急いで逃げるのだが、美少年の死体の元に、フラフラと男が3人現れる。この3人、ホモの同業者らしいのであるが、美少年の死を確認すると、美少年の持ち物や金品を奪う。
そして、極め付けは3人で美少年の死体を公園の木に首吊りにする。
あまりの所業に自分は言葉を失った(そもそも上映中だから喋ってないけど)。
 しかし上映終了後、家に帰り他の人の感想レビューなんかを読んだところ、「首吊りにしたのはホモで殺されたことを隠すためのホモとしての優しさ」ということだったらしくかなりの衝撃を受けた。どっちにしても言葉を失った。しんどいわっ!

【3. クミの股関から大量の出血】
よくわからなかったのであるが、流産したということだったのか、終盤にクミが下半身スッポンポンで大量に流血するのだけど、気色悪すぎて吐きさうになった。しんどいわっ!

岩戸景気、高度経済成長、所得倍増計画、神武景気、24時間働けますか、日本列島改造論、いざなぎ景気、と時系列を自分はよくわかっていないが、高層ビルもニョキニョキ乱立する東京、イケイケドンドンである。
そんな日差し眩しいスマートでモダンな風景だけが、東京ではない。
真っ暗な夜になれば、魑魅魍魎達が這い回る。

映画中盤、クミとジャンキー男が情事に耽るシーンがある。BGMにブリジット・フォンテーヌという人の「ラジオのやうに」という歌が流れるのだけれど、バチクソイカす。この曲が流れているとその空間はパリというかフランス映画のワンシーンみたいにアホいきオシャレになる。
 あとストーンズのエモレキュもクラブ?で流れるシーンがあったけど、リアルタイム感がバチクソあって、ウルトラカッコ良かった。



闇三毛 心の一句
「威張る蟹? いえいえそれは カニイバル」
(季語:蟹→蟹江敬三→蟹江・ウェスト→ヒップホップ→DJ-SBMK→冬)
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