佐藤克巳

西住戦車長伝の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

西住戦車長伝(1940年製作の映画)
5.0
同年東宝「燃ゆる大空」が戦闘機空中戦ならとばかり、松竹は戦車地上戦で対抗したが、シンプルさに於いて前者の勝ち。前半の戦車の破壊力は戦況逼迫を打破する決め手を印象付けたが、後半は西住中尉上原謙の人格や勇敢さにウエートを置いた演出となった。大家菊池寛が毎日新聞に連載、脚本野田高梧、監督は清水宏から吉村公三郎に代わった。この年日独伊三国同盟締結だがこの作品は1937年の南京戦が舞台だから、中国国民党軍はドイツ風鉄兜を被っている様にドイツの軍事顧問団指揮による近代兵器を装備した近代戦争であり、日本が弱者を侵略した様な左翼史観で観る事は避けるべきだ。この作品に登場した俳優、上原、原保美、磯野秋雄、坂本武、近衛敏明、桑野通子等の表情、体格、心情、振舞いを観るが良い。戦争の実体とは何か考えたい。
佐藤克巳

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