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ヒトラー 〜最期の12日間〜のkazu1961のレビュー・感想・評価

ヒトラー 〜最期の12日間〜(2004年製作の映画)
4.3
▪️Title : 「ヒトラー 最期の12日間」
Original Title : 「Der Untergang」
▪️Release Date:2005/07/09
▪️Production Country: ドイツ
🏆Main Awards : ※※※
▪️Appreciation Record :2020-126 再鑑賞
▪️My Review
原題はドイツ語で「失脚」「没落」を意味します。負けゆく戦い、もう終わりだと分かってきても、総統についていく者、自分の道を行こうとする者。。。その人間模様が壮絶なリアリティを持って訴えかけてきます。それぞれ死を覚悟した時にどういう行動をとるのか、今までのドイツの戦争を描いた作品とは全く違う、そこにいる人達の内面を深くえぐりだした作をです。
公開当時、一大センセーションを巻き起こした歴史的衝撃作であることには間違いありません。
追い詰められた独裁者の狂気、惑う側近、地獄と化すベルリン。。。第三帝国没落のすべてがリアリティをもって暴かれています。
脚本は、ヨアヒム・フェストによる同名の研究書、およびヒトラーの個人秘書を務めたトラウドゥル・ユンゲの証言と回想録『私はヒトラーの秘書だった』が土台となっています。
1942年、ミュンヘン出身の若い女性トラウドゥル・ユンゲが、アドルフ・ヒトラーの秘書になります。彼女は追いつめられたヒトラーの最期の日々を近くで目撃。そして、独裁者をひとりの人間として見つづけた彼女の瞳に映った、本当のヒトラーの姿を描いた作品なんですね。
なので本作、ヒトラーの人間的側面を抉り出した描写が議論を呼びました。

戦後70年を超えてなお、芸術作品におけるナチス政権下のドイツの描き方には制約が伴う中で、本作はアドルフ・ヒトラーを主題に据え、その役者にドイツの国民的俳優、ブルーノ・ガンツを起用したんですね。(参考:Wikipedia)

晩年のヒトラーをここまで抉り出して描いた作品はあまりありませんでした。指令本部から出ようとしない晩年のヒトラーは、部下たちの助言にも耳を貸さず、短気ですぐ怒鳴り散らし、強いドイツを最期まで疑いませんでした。その一方で女性や身内にはやさしく、紳士だったのには本作を観て驚かされました。どうやってこの独裁者が世界に生まれたのか?、晩年を観ているととても人間臭く(かと言って肯定は全くしませんし、狂気すらまとっていますが)、そのギャップに戸惑ってしまいます。このような視点でヒトラーを描いたこと自体、この作品の最大の素晴らしさだと思います。
そして、ヒトラーを演じるブルーノ・ガンツ。自分という存在を消して、ヒトラーになりきったその演技は必見ですね!!
物語は。。。
1945年4月のベルリン市街戦を背景に、ドイツ第三帝国総統アドルフ・ヒトラーの総統地下壕における最期の日々を描いています。混乱の中で国防軍の軍人やSS(親衛隊)の隊員が迎える終末や、宣伝相ヨーゼフ・ゲッベルス一家の悲劇、老若男女を問わず戦火に巻き込まれるベルリン市民の姿にも焦点が置かれています。。。
ほんと、凄い作品。人間の内面と狂気、そして愚かさ。。。何度観てもやるせないそんな作品です。

▪️Overview
独裁者アドルフ・ヒトラー率いるナチス党の最期の12日間の様子を描いた実話ドラマ。監督はオリヴァー・ヒルシュビーゲル。製作・脚本は「バイオハザード」シリーズ(製作のみ)のベルント・アイヒンガー。出演は「クライシス・オブ・アメリカ」のブルーノ・ガンツ、アレクサンドラ・マリア・ララ、ユリアーネ・ケーラー、トーマス・クレッチマンほか。2004年バンビ賞、2005年ドイツ・アカデミー賞最優秀男優賞、最優秀製作賞、観客賞など受賞。(参考:映画.com)
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