湯っ子

柔らかい殻の湯っ子のレビュー・感想・評価

柔らかい殻(1990年製作の映画)
4.3
なんだろう、この気持ち。恐ろしさと痛ましさと陶酔がマーブル模様のように渦巻いてる。心がざわつき、ゆるやかに動悸する。主人公の少年セスの黒くつやつやした髪は、無垢さも生命力も悪魔的な何かも感じさせる。
ここは地獄なのだろうか。青く広い空と金色の小麦畑と鮮やかな緑、そして燃えるような夕日の。戦争から帰ってきたセスの兄は、生まれた場所を醜いところだと吐き捨て、美しい島に爆弾が落ちるのを見ていたと語る。
この村の人が話すことは、大人も子どももおかしなことばかりなのに、ひとつだけ、まっすぐに届いた言葉があった。「子供を殺して何になるの?」戦争、差別、虐待、犯罪…セスが真っ赤な夕日の中で叫ぶのは、この醜い世界に生き残ってしまった悲しみだろうか。もうこの村には子供はひとりもいない。



当時、劇場で観たことをふいに思い出してから、ずっと気になっていた作品。近所のGEOで思いがけずDVDを発見し、このチャンスは逃したらもう出会えないかも…と買ってしまいました。Amazonでは¥6000くらいなので、¥3600はめっけものだったかな。思いを遂げられて満足です。 
湯っ子

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