記録。
追っているのは闇か、光か
韓国を震撼させた連続殺人事件をモチーフとする、言わずと知れたクライムサスペンスの傑作。
一言で言えば、元刑事のデリヘル元締め vs サイコなシリアルキラーの追いかけっこなわけですが、そのエグさ、闇深さ、緊張感はいずれも一級品。
長編監督デビューでこんなの撮れちゃうナ・ホンジン恐るべし。
キム・ユンソク扮する主人公ジュンホ(おぢさん走りがかわいい)も決して善玉という感じはしませんが、やはり語りたくなるのは殺人犯ヨンミンを演じたハ・ジョンウのサイコっぷりでしょう。
この作品、割と早い段階で犯人が割れるのですが、ジュンホにボコられて一緒に連行された派出所での一幕にはギョっとさせられます。
デリヘル嬢を売った疑惑に対して明確に否定するヨンミンですが、その直後の発言と態度には韓国映画が誇る無能警察官もドン引き。
ところどころ目がイッちゃってたりとかも含め、ハ・ジョンウの芝居には度肝を抜かれること間違い無しです。
恐らくこのキャラクターは映画ならではのものでしょうが、元となった事件の犯人は21人の殺害を認め「殺人機械」と称された凶悪犯。犯行の猟奇性も映画以上なので、苦手な方は調べない方が良いでしょう。
そんな事件すら巧みにエンタメとして昇華し、高い俳優の演技力で魅せる韓国映画の沼は一度ハマったら抜けられませんよね。
二度訪れる絶望、誤った水槽の使い方…。
心身共に健やかな時以外はオススメしない作品です。