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チェイサーのrensaurusのレビュー・感想・評価

チェイサー(2008年製作の映画)
4.4
きっつぅぅぅ…。きち〜〜〜。
サスペンスとしては序盤から犯人が明確になる構成なのに全編見応えがあり、晴れない憎しみが残る、どす黒い映画。

チ・ヨンミン(ハ・ジョンウ)のすっとぼけ感、何もかもを小馬鹿にしている感が超不快。何食わぬ顔で嘘をつき、平然と殺人を正当化していることに怒りが込み上げる。

オム・ジュンホ(キム・ユンソク)は普段の生活態度や喧嘩っ早いところに、序盤こそこの人ダメだなぁと思うにも関わらず、物語が進むに連れてミジン(ソ・ヨンヒ)とその娘への情が湧き、彼のヨンミンへの殺意を全力で肯定させてくれる映画の作りになっていて、エンタメとしてまあ上手い。

そのうえ、スッキリは終わらせない展開。分かっているのに届かない胸糞さをべったりと残していく。

最後、ミジンの娘という守るべきものが遺されていることが唯一救われる。作中、ジュンホが娘に「ミジンが生きているかも知れない」などと何も話さないところが美点なのだが、聞き込みの最中に母の死の可能性を悟り、娘が車内で泣くシーンがある。このシーンの上手さたるや。豪雨の中を走る車内を、雨の音だけを流し、少女は泣き叫び、ジュンホが電話越しに叫んでいる。こういう上手いシーンがちょいちょいあってやられます。
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