HAYATO

チェイサーのHAYATOのレビュー・感想・評価

チェイサー(2008年製作の映画)
4.1
2024年158本目
狂気と狂気のぶつかり合い
『哭声/コクソン』のナ・ホンジン脚本・監督によるクライムサスペンス
2004年に韓国で実際に発生したユ・ヨンチョルの連続殺人事件をベースに、殺人犯と元刑事の追跡劇を描く。
元刑事・ジュンホが経営するデリヘルの女たちが相次いで失踪。怒り心頭のジュンホが独自に捜索を開始すると、やがて店の客だった青年・ヨンミンが警察によって容疑者として逮捕されるが、証拠不十分で釈放されてしまい……。
『モガディシュ 脱出までの14日間』のキム・ユンソクがジュンホを、『お嬢さん』のハ・ジョンウがヨンミンを演じる他、『ビー・デビル』のソ・ヨンヒ、『怪しい彼女』のチョン・イソギ、『20世紀のキミ』のキム・ユジョンらが出演。
韓国で観客動員数500万人を超える大ヒットを記録し、2008年大鐘賞(韓国アカデミー賞)主要6部門の他、大韓民国映画大賞を受賞した韓国ノワールの金字塔。
デリヘル嬢を呼び出して快楽殺人を繰り返すヨンミン。飄々としていて何を考えているのかわからないハ・ジョンウのサイコパス演技は、凄惨で生々しいバイオレンス描写と相まって、震えが止まらないほど恐ろしい。ヨンミンのキャラクターのモデルになったユ・ヨンチョルが風俗嬢をターゲットにしたのは、かつて風俗嬢だった妻に対する当て付けの意味もあったそう。
他人の不幸など気にも留めず、目先の利益に囚われていたジュンホ。しかし、姿を消えたミジンを捜すうちに、シングルマザーである彼女の苦しい境遇を知り、幼い1人娘・ウンジを保護する中で、「人間味」を取り戻していく変化が見られた。
警察のどうしようもない無能っぷりが際立ち、後半に待ち受ける取り返しのつかない惨劇に、大きな精神的ダメージを受けた。あまりにも救いのない展開。
2008年本作公開直後に、ワーナー・ブラザースとレオナルド・ディカプリオがリメイク権を獲得したらしいけど、それからだいぶ年月が経過しているので頓挫してしまったのかな。果たしていつか見られる日が来るのだろうか。
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