河

カラナグの河のレビュー・感想・評価

カラナグ(1937年製作の映画)
3.6
イギリス植民地時代のインドで撮られた映画で、映画会社もイギリス。そのインドでハンターになりたい少年がいて、代々受け継がれてきた象と生活を共にしている。イギリス人に率いられた象狩りに大人ばかりの中一人子供として参加する。自分はハンターになるって大人達に言うと象が踊っているのを見れればハンターになれると言われる。ただ、それは子供しか信じていない神話で、大人達はからかって言っている。カメラは常に少年の視点にあり、象含めた自然を少年と会話し動いているように撮る。少年にとっては友達の象も大人にとっては狩りの道具でしかない。そして、少年は大群の象の踊る姿を見る。その成果によってハンターになる。しかしそれは同時に大人になることであり、少年の視点からのクライマックスのような幻想的な踊る象の姿から一転し、狩られた大群の象の逃げ惑う姿が現実的、暴力的に撮られる。そして以降少年の視点からの象の姿は映らない。象は捕らえられた後飼い慣らされていく。象の友達である少年から、象を飼い慣らし象を狩る大人への転換が、インドがイギリスに同化させられていく過程と重ねられる。
非常にファンタジー的な世界からラストで一気に暴力的な世界へと転換する映画。少年が信じているし少年からは実際にそう見えている、本来起こり得ない出来事を起していく、さらにそれが少年の心理と一体化したように現れるのが、そこからの大人になった少年と一体化した乾いた暴力感への転換含めて非常に良い。
常に少年の心理と自然のショットが一体化している感覚があり、特に虎がカメラにぶつかるシーンの霊感のようなその後への悪い予感や恐怖と一体化している感覚が非常に印象的だった。
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