たかだんごむし

蜘蛛巣城のたかだんごむしのレビュー・感想・評価

蜘蛛巣城(1957年製作の映画)
3.6
夫の陰に潜む女の野心のデカさ、そして醜さ。どんだけスモーク焚くんだよ黒澤明。スモークとヒキ画の組み合わせで荘厳さと迫力の演出が凄い。最初、何か開けた土地に柱が立ってて何だろうと思ってたら、「蜘蛛巣城」って文字がパンダウンで来て「趾」?跡のことか?じゃあここに城があった過去の話、どうやって滅んだのかを見せる話なのね。この前提で、先に何が起こるのかを追いながら考えた見方をしなくなる。更に、物の怪の予言に沿う話だとはっきり示しちゃう事もあり、この映画は展開やストーリーなどどうでもよく、今起きてる事、画を純粋に楽しませてくれるという仕組みを形作った。三船敏郎をマジギレさせたことで有名なラストシーン。究極の演出がもたらした結果と思いながら観ているだけで楽しい。もう三船の顔、顔、顔!マルチで撮った別ポジ同カット繰り返し。理屈抜きの力強さでいつまでも観ていられた。