おかちゃん

蜘蛛巣城のおかちゃんのレビュー・感想・評価

蜘蛛巣城(1957年製作の映画)
4.3
黒澤作品になると、余りにも有名過ぎるので、ざっくばらんに頭に浮かんだことを列記しますね。

・この作品、御殿場・富士の山裾野に 広大なセットを組んで撮影したんだって。黒澤はこの地がお気に入りのようで、別荘も持っていたらしい。
・森の中を馬が駆け抜けるシーン、 広大な領地の中を軍勢が移動するシーン、全てが黒澤映画の特徴出ていて圧巻だね。これは金かかるわな!? 天気を考慮して何日も撮影待ちしたり、セットの造作が気に入らず全部作り直させたり…。その為に何人もの役者&エキストラに払う賃金や日程調整、大道具係の製作苦労考えると…😵💦
・当時の巨匠と呼ばれる方々は、自分の創造物を具現化する為には、全てを犠牲にしてでも映画制作のポリシーを貫いたって事だわね。「黒澤天皇、現れる〰️❗️」って、よくスポーツ新聞の見出に書かれ揶揄されてた事を思い出した…。ただ、1つ忘れてならないのは、これを支えたプロデューサーやスタッフの苦労😢黒澤自身も、自宅抵当に入れて"借金まるけ" なんて話もチョイチョイある。彼一人ではなく、日本の凄い文化財なのだ。

・この作品に関しては、他作品と比べ少し品よく?出来ているのかな…。城内の三船と家来&山田五十鈴との所作や動き、床板の間まで、歌舞伎や能の様式を醸し出す(山田のメイクは、小面の女面を想起させ、その演技は見事だ)。それを、引きのカメラで長回しして撮ってる辺りは、観ていて気持ちがよい😉👍️
後半部の城門の張り出し廊下で、三船が大見得をきる辺りも歌舞伎役者のようだった。
・三船の眼力もハンパない。いつ目玉が飛び出すか、と思うぐらいの威圧感だ。でも、それが逆に怪人に怯える恐怖心を増幅させて我々に感じさせる。そして、最後の弓矢での絶命シーンを、なんとも憐れな心持ちにさせる。
・映画の主題は、マクベスをベースにした人間の猜疑心を取り上げている。
でも、ずっと見続けると私はある映画を思い出した。それは「もののけ姫」である。どちらも 「もののけ」の登場を切っ掛けとして人間の業を取り上げて描いている。 残念ながら、私自身は「もののけ姫」はかなり昔の鑑賞で細部の記憶が曖昧だが、たしか「自然に対する畏敬」が物語の根幹を成していたと思う。

・日本文化は古来より「自然に対して畏敬」を払う、それがこの映画の中にも濃く反映されていてある意味日本らしいと感じさせた。自然と日本文化の考察はまた今度🤭
もののけ姫を久し振りに観てみようかな〰️😀