わせ

津軽じょんがら節のわせのレビュー・感想・評価

津軽じょんがら節(1973年製作の映画)
4.0
斎藤真一の絵が使われているのを知り鑑賞したのだけど、しっかり面白かった。荒々しいけど細部まで拘り抜かれた筋書き、そして潮とか古い家の匂いがしてきそうな映像。まあとにかく気持ち悪い。この狭い町の窮屈さ陰湿さは勿論のこと、出てくる人間の殆どが自分よがりな考え方で生きている。それが何とも気持ち悪い。好意もお節介も性欲も相手のことなど気にせずに自分のために押し付けるような生き方。東京を出たことのない徹夫が初めのうちは津軽の町で息苦しそうに暮らしていたけど、日を重ねるうちに東京になかった真新しさを町の人間や仕事の中に見出して笑顔が増えてゆくのが面白かった。そして東京の女に徐々に飽きを見せるという⋯。 自分の居場所って、思いがけない場所で見つかるのだなあ。女はその逆に生まれ育った故郷を捨ててしまうのがよい。そして最後はやっぱりあの結末じゃなきゃ駄目だったね。三味線の音が耳に残る、ベンベン。
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