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ターミナルのyksijokiのレビュー・感想・評価

ターミナル(2004年製作の映画)
3.7
ワンシチュエーションものながらも要素が多く、しっかりと人間ドラマを見せてくれてかつ面白く見れるようにコメディ的なおっちょこちょいエッセンスも入っているので本当に最後まで楽しく観られる作品でさすがスピルバーグだなという感じ。何と言ってもトムハンクスの演技が非常に味があって抜きんでていたと思う。外国語しかわからない人の特徴をうまく掴んでいるしそれによる捉え方や文化の違いとか言語のギャグとかを上手に盛り込んでいた。トムハンクスの持ち前の困り顔といい人感も非常ににじみ出ていた。ちょっと行動含めて不審者過ぎるところはありつつも「何故この人はアメリカに入国したがっているのか」の動機の部分が最後のほうまで明かされないことが観客もターミナルの人々も同じ目線のままで楽しめる要素として残っていてそこが良かったと思う。終盤にその理由が明らかになるところのカタルシス的な良さが引き立っていたと思う。マクガフィン的な立ち位置のピーナッツバター?の缶も良かった。

他の登場人物との心の交流というか長くターミナルに滞在することで芽生えてくる感情や構築されていく関係値などもとても良かったし、サバイブしていくための知恵というかいわゆる労働の側面も描いていて、空港スタッフ達との交流もとても良かった。

色恋の方も非常に面白く描かれていたし、特に食事のシーンは面白かった。
「待ち人」という共通項を持ちながらも互いに待つことに対する考え方を少しずつ変容させていき、その中で心を通わせていく様も非常に良かった。最後の持っていきかたはちょっと雑な気はしちゃったけど、、蛇足感があったかも。

空港に久しく行けていないので行きたくもなったし、空港ならではの職業とか行動とかそういうものも取り上げられていて奥深さというか上手に空港という場所を使って面白さを演出しているのが流石だなと思った。飛行機の機内映画に必ずターミナルがあるわけだと納得してしまった。

言語の壁や感情の差をうまくトムハンクスに吸収させていて、さすがの名優ぶりというか彼一人で映画が成り立っている点もさることながら、キャサリンゼタ=ジョーンズのミステリアスなCA感もとても魅力的に写っていたし各主要キャストの魅力を非常にうまく引き出していた作品だった。
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