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ターミナルのArkのレビュー・感想・評価

ターミナル(2004年製作の映画)
4.3
2024-7
クラコウジア国からジョン・F・ケネディ国際空港に来たビクター。入国審査を受ける直前に、クラコウジアでクーデターが起こりパスポートが失効し、無国籍になってしまう。しかし、ある目的のためにどうしてもニューヨークに行きたいビクターは、外に出られる日まで空港で待ち続け、様々な人と交流を重ねる。


思っていたよりコメディ。
いつ来るか分からない“その日”を来る日も来る日も待ち続けるビクター。空港に1人で言葉も通じずきっと孤独感でいっぱいだったと思うのに、ビクターはその愛嬌ある人柄と不屈の精神で諦めずに待ち続ける。

“法の隙間”に落ちるって怖いなぁ。

トム・ハンクスが英語を話せない人の役で、英語を話す時も訛りまくってるのが新鮮。

ロシア付近にあるという設定のクラコウジア共和国は架空の国家で、ビクターが話すクラコウジア語はロシア語とブルガリア語を混ぜた架空の言語らしい。

エンドロールで出てくる名前が本人の直筆というのは激レアでおもしろい。

ビクターのモデルになったのはマーハン・カリミ・ナセリという男性。彼は1942年にイラン南西部に生まれ、1973年に3年間イギリスで留学する。翌年にイランのモハンメド・レザー・パフラヴィーによる統治に反対する運動に参加したせいでイランに帰国後 秘密警察に拘束され、国外追放されるまでの4ヶ月間拷問を受ける。そしてヨーロッパに戻り政治亡命の申請を行うが各国に却下され、最終的に1980年にベルギーで難民として認められ1986年まで生活するが、イギリスへの移住を決意しベルギーを離れる。しかしフェリーの中で「出国したから」と難民認定書と入国許可証を手放してしまい、イギリスに入国できずベルギーに送還される。しかしベルギーでもそれらが無いため入国できず行ったり来たりするうちに、イギリスの係員が「フランスなら入国できるかも」とフランス行きの旅客機に乗せ、シャルル・ド・ゴール空港に到着してからが、「ターミナル」の始まりらしい。結局そのまま2006年まで18年間空港生活を送ったのだとか。生まれてから高校を卒業するまでと同じ期間。失われた18年は大きい。
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