ししまる

死霊の罠のししまるのレビュー・感想・評価

死霊の罠(1988年製作の映画)
2.9
80年代スプラッターブームに乗って製作された88年の日本初本格的な劇場用スプラッターホラー。女性レポーターに届いた惨殺ビデオテープの謎を探るため、取材班が撮影場所と思われる建物(「米空軍管理施設」という看板が出てくる)へ入っていく。
レポーター役に小野みゆき、プロデューサー役は島田紳助。ほかに小林ひとみ、中川えり子の両AV女優も。
当時は日本映画にもついにスプラッターの波が来たって心踊ったものの、落胆した記憶がある。
30年余りの歳月を経たいま、改めて見ると、イタリアスプラッター映画界の巨匠ダリオ・アルジェントの作品で音楽を多く手掛けたゴブリン風の曲、「サンゲリア」(79)のような目玉✕✕、「死霊のはらわた」(81)を思わせるカメラワーク、「エイリアン」(79)のようなキャラなど名作へのオマージュの数々。だけど、やはりいま一つで惜しい。
終盤は結構盛り上るのだが、如何せん中盤までがねぇ。序盤は両AV女優がセリフ棒読みで演技がひどいし、中盤はやや冗長で、ここまで取材班という設定もほぼ関係ないし。中盤までもっと工夫されていればだいぶ印象は変わったはず。ただ日本でこんな作品を完成させた製作陣には拍手を。
意外と高評価なのは懐古主義のおじさん、昭和ブームの若者のおかげか。まあそもそも、普通のひとは見ないか。
92年に続編が製作。2019年にはクラウドファンディングにより両作品ともにBlu-ray化された。
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