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ラ・ピラートのUnrelatedのネタバレレビュー・内容・結末

ラ・ピラート(1984年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

[ラ・ピラート] 
・オリジナル予告編を観てみると、静止画が次々と流れていく。最初はカメラを引く動作と静止画をクローズアップする動作の二つだったが、後半になるとひたすらクローズアップ。
・登場人物は、アルマとアルマの夫、キャロル、謎の少女、探偵(ナンバー5)
・物語の最初にて、夫がアルマに足引っ掛けられたときにキャロルと少女の車に向きながらアルマのことを「売女」と呼んでいるので、酔っぱらっていたとしても、すでにアルマとキャロルの関係を知っている可能性がある。可能性がある理由は他にも探偵がアルマの家を覗いていることから夫が探偵を雇っているだろうことから。
・解説にはアルマは夫からもキャロルからも愛されていないとあるが、最初のほうでキャロルが車の鍵を投げるところや夫が玄関にいるキャロルの存在を疑っても階段を下りることをしなかったことから最初の時点で、納得がいく。
・謎の少女は探偵の車の前に乗って邪魔をしているところは何だろう。邪魔される場合は最悪どうなるのか。そして後半になっていくと少女の役割を理解できるようになっている。しかも少女は銃を持っているし、少女はやけに察しがいいのよ。
・また観ていくと簡単に取れるお金さえ少女には必要ないのがわかる。つまり目的はお金じゃない。彼女の役割のヒント?
・ナンバー5がホテルに入るシーンで、「作家のロティ海軍中尉」と言っていた。ロティ海軍中尉とは、ピエール・ロティというフランス海軍士官のことだと思う。またロティは「人知れず恋をするインドの花」のような性格だと同僚から思われている。ということでナンバー5の性格もロティと似ていると感じる。ナンバー5がアルマに惚れると言っているところから彼の心情の変化が見える
・ナンバー5はホテルの従業員に車の鍵を渡すのを頼んでいる。ということはキャロルがアルマとの距離を遠ざけたいことに最初から気づいているのでは?遠ざけている証拠として「心を奪ったくせに」というアルマの苦しみやキャロルが泣かすときに一番の意地悪っていうところ、「不幸になるから」と言うキャロルから読み取れる。お互い愛し合ったくせに…(涙)。そして「こんなこといや」という気持ちが先行してお互い涙を流しあうの。
・靴を探しているナンバー5が少女に訪ねているときに「親指小僧」というキーワードが出てきた。親指小僧とはグリム童話の中の一つ。
・「初めてと思ってキス」をしてとアルマが言う。お互い惹かれたあの頃に戻りたいのね。映画が進んでいくと私はアルマの気持ちに寄り添っちゃうの。
・少女と一緒にハグをする人物とハグの回数や時間に着目して映画を観ると面白い。ラストでなるほどってなる。ちなみに最初にハグしているのはアルマ。車に乗っているときのハグでアルマ二回目だし、しかもかなり長めのハグ。
・少女が一人で部屋に入るとき、船の音がなる。後半の舞台となる船だと思う。まるで今後の運命はすでに決まっているかのように…。また少女は鏡を見ながら泣いている。好きとか嫌いとか卑怯者とか言いながら。今まで見てきた人々の苦しみを目の前にして少女でさえ耐え切れなかった…。最後に「撃ってあげる」(少女の目的)と言っているところはラストの伏線になる。
・少女とアリアが見つめ合うとき、お互いの気持ちがひとつになる気がしてドキドキした。裁きの目で見てというアリア、そして「どんなときも一緒」と少女がいう。お互いの感情のぶつかり合いに私はひたすら惹かれていくの。
・最後のところが船内で終わるとか最高。どこに行くのか分からない、なんとなく乗った船での終わりかたは、閉ざされた未来を表していている。物語を終わる方法としてアリアの死が必要だった…。このようなことが起こったのは結末の明確さを求めすぎた結果だと思う。また少女の存在しているときは死と隣り合わせの状態で、悲しい未来の予兆だと思う。少なくとも少女の存在はアルマの望んでいることだったのは確かだと思うし、アルマがナイフを持つときキャロルや夫に対しての憎しみの気持ちなどを感じた。
・エンディングは、少女とアルマの二人で流れる。少女は涙を流している。最後まで最高だった。
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