カラン

ラ・ピラートのカランのレビュー・感想・評価

ラ・ピラート(1984年製作の映画)
3.5
主演のジェーン・バーキンは、公開時には既に監督のジャック・ドワイヨンと結婚していたようだ。そのジェーン・バーキンはバイセクシャルの役柄で、旦那役はジェーンの実兄のアンドリュー・バーキン。ジェーンを奪い合う競争相手はマルーシュカ・デートメルス。

☆ジェーン

ジェーン・バーキンはショートが格好いい。白シャツに黒いスーツ。一張羅?細くて長いのでオムっぽいのが似合っている。レズの相手が丸っこいマルーシュカで、旦那のアンドリューが荒くれの労働者だから、ファッションで対比を際立たせたのかな。

☆マルーシュカ

①ゴダールの『カルメンという名の女』(1983)のマルーシュカ・デートメルスを見初めて、ドワイヨンは②『ラピラート』(1984)に起用することにしたらしい。そのマルーシュカの出演している映画は①と本作②とベロッキオの③『肉体の悪魔』(1986)しか私は観ていないのだが、全部脱いでいる。あのぶりぶりスレンダーの肢体を最もセンセーショナルで愛らしく撮っていたのは①のゴダール&クタールのコンビである。圧倒的にゴダールが良く、②と③のマルーシュカの普通さは、ゴダールの女を撮る腕前を証明するものでしかない。なお、本作の撮影監督はブリュノ・ニュイッテン。デュラスの映画やズラウスキーの『ポゼッション』とかを撮った腕利き。

いやー、①は凄い。ミリアム・ルーセルのバストショットを挿入しまくる映画なわけだけど、それすらも自分の輝きになるよう吸収してマルーシュカはあの華々しいバイタリティだからね。

☆結束ショット

皆んなでバーに並んだり、小さい車に乗り込んでと、結束ショットをやりたかったのが本作ならば、『ラブバトル』(2013)は2人というミニマムな単位で再挑戦したということになるのかもしれない。

本作でマルーシュカ・デートメルスはたくさん、ジェーン・バーキンはちらっと、脱ぐ。しかしどちらもやらない。旦那ともやらない。旦那が実兄だから、そもそもやらないし、やれない。監督はたぶん嫁がやるって言い出すのを期待したんだろうけどね。とにかく旦那がやらないから、レズの恋人もやらない。構造的に結束に向かわないし、そうなることに何の驚きもない。

結束ショットって、フェリーニの『8 1/2』だとかさ、ベルイマンの『第七の封印』とかのラストシーンみたいなやつだからね。或いは、森田芳光の『家族ゲーム』(1983)とか、クリスティアン・ムンジウの『4ヶ月、3週と2日』(2007)とかの晩餐のシーンだよね。本作のは『ラブ・アゲイン』(2011)のよりも弱いかな。舟に乗り込む前のバーで集まった時、まずスカってるんだよね。で、その隙間のスカに後からやってきたマルーシュカ・デートメルスが座る。子供とおじさんの間に座るからぎゅっと詰める感じ。結束ショットをやりたかったのが分かる。その後もわざわざ一台の車にする。でも、それだけじゃね〜




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