シンタロー

ラ・ピラートのシンタローのレビュー・感想・評価

ラ・ピラート(1984年製作の映画)
3.5
元恋人アルマの帰りを待つ、キャロルと謎の少女。夫アンドリューと共に帰ってきたアルマは、キャロルとの再会を喜ぶ。もう昔のようには戻れないと2人はわかっているが、思いが断ち切れず、ホテルで激しい感情をぶつけ合う。アンドリューから依頼を受けた探偵"NO.5"と謎の少女が2人の後を追う。少女から追手が来ていることを知らされた2人は、車で逃亡するのだが…。
La Pirateは"略奪する女"の意味。キャロルが人妻の元恋人を略奪するという、当時まだタブー視されていたレズビアンの恋愛描写に加えて、ジェーン・バーキンと実兄アンドリュー・バーキンに夫婦役をやらせて、さらに暴力シーンも演じさせたということで、賛否両論が渦巻いたようですが、フランスでは大ヒットしました。登場人物はほぼ5人のみ。舞台的な映画でかなり低予算で作られてそうです。皆ひたすら叫んだり泣いたり殴ったりしまくる難解作で、結局五角関係?までに発展しますが、ヒロインのアルマは誰からも愛されるけど、誰のことも愛せない人なので、この結末は致し方ない感じです。
ヒロインのアルマにはジェーン・バーキン。監督のジャック・ドワイヨンとは当時結婚していましたが、彼との出逢い後、明らかにバーキンのお芝居に変化があり、本作にもよく表れています。自分はこんなに乱れ狂うバーキンも、意外と好きでした。そんな激しい面は娘にも受け継がれてる気がします。キャロル役にはマルーシュカ・デートメルス。アジャーニに代わってゴダールの「カルメンという名の女」に主演したことで知られる美女ですが、私的には「肉体の悪魔」の衝撃が忘れられません。本作のバーキンとの絡みも、伝説的に語られるでしょう。よくここまでやりました。実妹を殴りまくったアンドリュー・バーキンですが、後の監督作で姪のシャルロット・ゲンズブールをヒロインに近親相姦映画を撮って話題になりました。
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