すず

第5惑星のすずのレビュー・感想・評価

第5惑星(1985年製作の映画)
4.5

21世紀末、人類は地上の平和を達成して、徒党を組んで宇宙へ進出した。そして、宇宙開発と星の植民地化に向けて、先住権を主張する異星人との間に新たな戦争を始める…。。

戦闘機のクラッシュで墜落したのは、ファイリン第Ⅳ惑星という未開発の惑星。操縦士のウィリス•E•ダビッジ(デニス•クエイド)は、ドラックと呼ばれる敵対する異星人のジェリバ•シガンと未開の惑星にたった2人で取り残される。

古代生物に似たキモい物体が這い回り、劣悪で過酷な環境の惑星で、殺し合うはずだった2人の、先の見えないサバイバルが始まる。

爬虫類型の恐ろしい容貌の異星人ジェリー。好戦的な人類を象徴するかのようなダビッジ。

名前があり、其々の言語があり、互いの文化をもつ2人は次第に意思を通わせ合うようになる。そして物語は、思いもよらない、種族を越えた壮大な父性愛の物語にまで展開していく。

全宇宙をつかさどる真理は、愛の慈しみであるというメッセージ上に、善と悪のさまざまな光景や矛盾が突き付けられるが、ダビッジとジェリーの友情はユニークでとても心温まり、次第に涙なしでは観られなくなった。

『ET』を想起させるような、種を越えた一個人同士の友情から示されるのは、人類に対する現在と未来への普遍的なメッセージ。エイリアンSFとヒューマンストーリーが融合した、濃厚な絵面の、とても素晴らしいドラマであった。最初の気持ちからすると、まさか、これで泣くことになるとは思いもよらなかった。
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