ナツミオ

青春の夢いまいづこのナツミオのレビュー・感想・評価

青春の夢いまいづこ(1932年製作の映画)
3.9
WOWOW on demand鑑賞
【小津安二郎監督特集】

“学生時代の友情はどこへいったんだ!“


新音声版(2023年版)で初鑑賞。
青春時代の友情。それは就職しても変わらず続くのだろうか?
今でも通用するストーリー。
小津組のスタッフ、キャストが顔を連ねており既に安定感のある作品♪

かつての学友たちの関係に亀裂が生じて……。
小津安二郎監督の初期の無声映画の新音声版。「連続ドラマW OZU ~小津安二郎が描いた物語~」の1本としてリメイク。

英題 『Where Now Are the Dreams of Youth?』

1932年日本作品モノクロ・サイレント86分
監督 小津安二郎
脚本 野田高梧
撮影 茂原英雄
出演 江川宇礼雄 田中絹代  斎藤達雄 大山健二 笠智衆 
佐野史郎 声
倍賞千恵子 声

(WOWOW番組内容より)
会社社長の御曹司・堀野(江川)は、同じ応援部に所属する島崎(笠)と熊田(大山)、勉強家だがうだつの上がらない斉木(斎藤)と、いつもつるんで気ままな大学生活を送る悪友4人組。堀野は、皆の行きつけの店の看板娘・お繁(田中)と恋仲にあった。ところがある日、父親が急死し、堀野は大学を中退して新社長の座に就任することに。やがて島崎や斉木たちも、彼を頼って堀野の会社に入社。お繁もやはり彼の会社で働くことになり、堀野は皆との再会を喜ぶのだが……。

(WOWOW解説より)
気ままな大学生活を謳歌していた悪友4人組。ところがその内のひとりが、急死した父親の跡を継いで新社長の座に就任し、残る3人も彼の会社に就職。しかし社長と社員として各自の立場に違いが生じたことから、彼らの友情にも微妙な影が差して……。
名匠・小津監督が、前作「~生れてはみたけれど」に続いて、序列社会がもたらす悲喜劇を緩急巧みに綴ったサイレントの青春ドラマ。
皆の憧れのマドンナたるヒロインを田中絹代が愛らしく好演するのも見もの。
今回放送する新音声版の声の出演は、佐野史郎と倍賞千恵子。

前作『大人の見る絵本 生れてはみたけれど』を完成後、『また逢ふ日まで』の撮影に入るも費用がオーバーしてしまい、急遽低予算で作ったのが本作である。
小津としては手馴れた題材であったが、その分だけ充実した演出術が楽しめる。初回興行は帝国館。(Wikipediaより)

主演の堀野を演じる江川宇礼雄はドイツ人・日本人のハーフ。彫りの深い顔立ちとサラッとした姿がかっこいいがWikipediaのプロフを見ると結構、波乱万丈な人生でビックリ‼️
興味のある方は是非。
特に1966年(昭和41年)のTBS『ウルトラQ』での一の谷博士役が有名‼️

大女優・田中絹代の若い時の作品は初めて観た。美人では無いが愛嬌のあるマドンナ役。やはり江川宇礼雄演じる若社長・堀野から告白され涙を浮かべるシーンに、大女優の片鱗が見られる。

小津組の常連、笠智衆も堀野の悪友たちの1人島崎を演じる。

そして真面目で要領の悪い、斉木を演じる斎藤達雄。


細木と社長がマドンナ宅からそれぞれ帰る傷心のシーンは、同じアングルのショットで描かれ面白い演出。

かつての大学の悪友たちだが、就職を先に若社長に就任した会社に就職したために起きる悲喜劇。
しかし、爽やかな余韻を残す終盤は、流石の小津節。面白い‼️



【忘備録】ネタバレなし
(キャスト)
・堀野哲夫:江川宇礼雄
・ベーカリーの娘お繁:田中絹代
・斎木太一郎:斎藤達雄
・哲夫の父謙蔵:武田春郎
・哲夫の叔父貢蔵:水島亮太郎
・熊田順助:大山健二
・島崎省吾:笠智衆
・大学の小使:坂本武
・斎木の母おせん:飯田蝶子
・山村男爵夫人:葛城文子
・令嬢ユリ子:伊達里子
・婆や:二葉かほる
・花嫁候補の令嬢:花岡菊子


2023年版
プロデューサー 藤井宏美 橋本佳子
映像技術 藤井遼介
整音 桑木知二
選曲効果 泉清二
演出 可香谷慧

2003年版
製作 松本行央
プロデューサー 橋本茂 藤田章 西山聡
整音 桑木知二
選曲効果 いずみせいじ演出 新津総子
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