ナツミオ

ルル・オン・ザ・ブリッジのナツミオのレビュー・感想・評価

ルル・オン・ザ・ブリッジ(1998年製作の映画)
3.7
WOWOW録画鑑賞
【特集・ミニシアターに愛をこめて】ミニシアター・ブームを支えた世界の秀作。

これは鑑賞後、じわじわとくる作品。

原題 『Lulu on the Bridge』

1998年米作品
監督・脚本 ポール・オースター
出演 ハーヴェイ・カイテル ミラ・ソルヴィノ ウィレム・デフォー ジーナ・ガーション マンディ・パティンキン ヴァネッサ・レッドグレイヴ ヴィクター・アーゴ

(WOWOW番組内容より)
ライブハウスで演奏中、銃撃事件に巻き込まれ、奇跡的に命は取り留めたが、サックス奏者としての生活を断念することになったイジー(カイテル)。
以来、彼は人生に絶望していたが、偶然手に入れた不思議な石に導かれるようにまだ無名の女優セリア(ソルヴィノ)と知り合い、彼女と恋に落ちる。
やがてセリアが新作映画『パンドラの箱』の主人公役ルル役に抜擢され、撮影のために海外へ旅立つ一方、イジーは、石の行方を探す謎の人物ヴァン・ホーン博士(デフォー)に拉致され、監禁されてしまい・・・

『スモーク』で脚本家、『ブルー・イン・ザ・フェイス』で共同監督を務めた、現代アメリカ文学随一の人気作家ポール・オースターが、いよいよ単独で映画監督に挑んだ要注目作。

少し難解で、ラストも⁇
「そう来るか〜⁈」

かなり古い古典的名作と言われている『パンドラの箱』(1929年独・G・W・パプスト監督、主演ルイーズ・ブルックス)の主人公ルルが重要なモチーフとなっているが、観たことは無いが、ストーリー上には関係無いので未見でも大丈夫そう。

最初に、イジーがトイレの壁一面に貼られた写真の中に、ルルを演じたルイーズ・ブルックスのポートレートが写される。ショート・ボブの魅力的なルル。

「不思議な石」を偶然手に入れたイジーは、導かれる様にセリアと出逢い恋に落ちる。
青白く光る石を持つと不思議と気力がみなぎるパワーが得られる、まさしく「パワーストーン」。

バネッサ・レッドグレイヴ演じる元女優のキャサリン・ムーア監督は、『パンドラの箱』のリメイク作品の構想を練り、主役のルル役に新進女優セリアが抜擢される。

撮影で海外に向かったセリアを見送った後、謎の集団に拉致されたイジーは、ヴァン・ホーン博士の執拗な尋問を受ける。
イジーの子供時代、父親や兄との関係、そして"石“の行方。過ちや罪の意識などを問うところ。
"贖罪”もテーマなのか?

人は一生を終える瞬間、人生が走馬灯の様に映し出されると言われるが、そんな印象。
男が思い描く"永遠の女性像“を描いた作品なのか、観るものの判断に委ねられるよう。

最後にセリアの"ある仕草”が描写されて、やっと深い夢から覚めた錯覚を覚えた、不思議な作品。
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